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マスターのおすすめ本~その8 「ハーモニー」 伊藤計劃 [本]

読み終わって…しまいました。
ずっと楽しみにしてた旅行が終わってしまったようなそんな喪失感です。

いやあもう本当に面白い。
この後しばらく他の小説で満足できるのか不安です。
今読みかけている「ノルウェイの森」最後まで読める自信がない…。

小説というより哲学書というか、テーマや書きたいことが最後までぶれずに一定していてストーリーと別に「生きる」「意識」の定義を考えさせられる本でした。

ここから先、ストーリーに触れてますので、読まれる予定のある方はご遠慮下さい。
というかすごい小説なので是非読んで下さい。



虐殺器官後の荒廃し人が殺しあった混乱期を経て、健康を第一に掲げた"生府"が舞台。人はリソースとして、社会の所有物として考えられ、健康状態は全てサーバーで管理され、個人情報は全員に開示され、健康状況や社会貢献度で点数づけされている社会。病死や殺人はほとんど起こらず、限りなく慈愛に満ちた社会だが自殺率は増えて行く。
人は痛みによって生を感じ、死を意識してこそ生きていけるのだなと感じました。

最終的に幸せな社会=人間が意識を持たないことという極論に向かって行くのですが、それは生きていると言えるのか?人が脳だけは聖域として扱うのはなぜなのか?様々な問いかけを、作者は極めてクールに終わらせています。

未来の話なのですが、すでに日本の社会に私が感じていることも含まれています。平均的であることが美徳であり、周りの評価=私の価値という傾向、異端と思われることへの恐怖心そして少しの憧れ、このまま行けばそうなるのではないかという預言書にも取れます。

最後にこんなに素晴らしい小説を書いてくださった伊藤計劃さん、有難うございます。


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ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: 文庫



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