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マスターのおすすめ本~その10~ 「田村はまだか」朝倉かすみ [本]

最近もハイペースで本は読んでたんですが、紹介したいほど面白い小説になかなか出会えずにいましたが、久々に大ヒットした小説です。
無理して恋愛小説とか読むからいけない。

「田村はまだか」朝倉かすみ

舞台は場末のバー。不倫の末会社をくびになり妻にも見捨てられた脱サラマスター花輪晴彦と、小学校のクラス会で再会した5人のクラスメイトが待つのは、遅れてくる予定の同級生田村。
田村には来れない理由があった。

田村を待つ間に、5人一人ひとりの人生にスポットが順番に当たっていくという形式。
まず、本当に作者は女性なのか?と思わせる男性的な文章、しかしながら女性が主役の物語ではきちんと女性目線の文章になるし、両性具有か?!と思うほどの今までに出会ったことのない文体にはまりました。作者名がなかったら確実に男性が書いたと思ったと思います。オブラートに包まない感じ、直接的な表現がないのにどことなく猥褻で甘美。
そして文章構成も巧。一人ひとりの物語ですが、それぞれのストーリーに登場する人物が年代をこえてリンクしていると匂わせるけど、けして断言も限定もしてない節。私的に田村の父親があの人では…とにらんでるのですが、正解は分からずじまい。あぁ誰かこれを読んだ方と田村談義したい。

きれいな言葉でまとめようとも、読んだあとに感動や共感を感じさせようとしている嘘くささがないのもこの作品の魅力です。泣ける訳でも笑える訳でもないのに面白い小説。
個人的に田村と妻の小学生時代の恋愛エピソードが好きです。

人生、捨てたもんじゃないなと。
人生、自分が主役のストーリー。



田村はまだか (光文社文庫)

田村はまだか (光文社文庫)

  • 作者: 朝倉 かすみ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/11/11
  • メディア: 文庫



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